逆境に強い折れない心「レジリエンス」

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Self Love/Care

 『大失敗ほどレジュメに書くべき最高にクールなことはない』

『失敗したことのある人間でないと信頼できないし,大きな失敗ができるということは,相当な実力がある証拠であり,また,その大失敗から学べる人間であり,学んだことはかけがえがない』

                         「頭に来てもアホとは戦うな! 田村 耕太郎」

『きみは,失敗を恐れるだろうか。「失敗したら恥ずかしい」と,一歩前に出るのを躊躇することが多いのだろうか。あるいは,してしまった失敗をくよくよ思い返すのだろうか。そもそも「失敗」しないために,日々の努力を重ねているのだろうか。だとしたら,バカバカしい。今すぐ,やめなさい。』

                           「英雄の書 黒川 伊保子」

 今,教育の世界でも「レジリエンス」が注目されている。「レジリエンス」とは,簡単に言えば「逆境に強い折れない心」である。もっと具体的に言うと「逆境や困難,強いストレスに直面した時に適応する精神力,心理的プロセス」のことである。つまり,『困難に直面しても戻れるしなやかな心』『ストレスや予想外のショックに耐える弾力性のある精神』『予期せぬ変化を受け入れ合理的に対応する力』『逃げるより,いかに向き合うか』ということだ。

 人はしばしば否定的な感情や記憶がより長く,強く残ってしまう。これを「ネガティビティ・バイアス」という。「失敗したくない」「間違えたくない」多くの子どもたちも抱えている自然な感情だ。しかし,子どものころにたくさんの失敗を経験することはとても良いことだ。もちろん,うまくいく経験も同じくらい大切だ。うまくいく経験と失敗を乗り越える経験をたくさんすることで、子どもたちは心も脳も成長する。けれども,失敗を恐れる心・正しくありたいと思う心は誰でも持ち合わせており,ぬぐい切れない。そのまま失敗をせずに大人になってしまうと,一度の失敗で立ち直れなくなるくらいに大きなダメージを負うことになる。だからこそ,子ども時代の失敗は宝なのだ。

 ある時,算数の授業で自信満々に意見を述べた男の子がいた。彼はとても真剣に考えた結果,彼なりの視点では正しく思われた意見を述べた。自分の考えを堂々と述べる姿は,すごく格好良かった。彼の意見を一度受け止めた後,算数の視点で見ると,その意見は間違えていることを説明した。彼がそう思った気持ちも分かる。けれども,正しい見方ではないという説明を多くの仲間が語ってくれた。彼は,算数の回答としては,間違えた答えを言ったのだ。

彼は机につっぷした。今にも泣きだしそうになっていた。悔しさや悲しさが入り混じった表情をしていた。教育の現場では,いつもこのような真剣な学びの場面に出くわす。そして私も胸が熱くなるのだ。私は彼に言った。「君が居てくれて良かった。ありがとう。」と。算数の回答としては間違えてしまったかもしれない。けれども自分の考えを堂々と発表したことにこそ,学びの価値がある。自分の心の中だけで解決してしまうのは,本当に理解していることとはイコールにはならない。彼は自分の考えをみんなに堂々と述べたのだ。その結果が,間違えていただけで,それは正しい見方をインストールする最高の機会になったということだ。そう,この算数の時間に誰よりも深い学びをしたのは,まさしく彼だ。

そして,彼のように,間違えていたとしても自分の考えを伝えてくれることで,クラス全体の学びが深まる。正しい答えだけが飛び交う授業では,学びの深まりは見られない。正しい考え方と間違った回答が飛び交う中で「ああでもない,こうでもない。」と議論するときに,本質的な学びへと繋がるのだ。だから私は,彼に心から感謝した。君が居てくれて良かったと。すると,どこからともなく仲間たちが言った。「失敗は成功のもとだよ!」「次また頑張ればいいじゃん!」温かい空気が教室を覆った。

 子どもたちには「失敗していいんだよ。」「失敗しても間違えても,あなたの価値は変わらない。」「ピンチはチャンス」と,繰り返し,繰り返し伝えている。けれども,堂々と失敗し学びに変えることができる力は,全員が発揮できているというわけではない。やはり失敗を恐れる気持ちを持っている子どもたちは大勢いる。さて,それはなぜだろうか。答えは簡単だ。何を隠そう,「私」自信が失敗を恐れているのだ。間違えるのが怖いのだ。心の奥底では・・・。

 話を戻そう。冒頭に話した「レジリエンス」。これこそ,今の教育に欠かせない大切な力だ。否,私に必要不可欠な考え方だ。

 【しなやかに 軽やかに 生き生きとしたエネルギーと愛を振りまく】

 これが私のテーマだ。だとしたら,このレジリエンスの力こそ身に付けておくべき最高の武器である。レジリエンスを鍛えるためにはいくつかの方法がある。この考えを大人が取り入れて,軽やかに自分の人生を生き,困難に直面してもしなやかに乗り切る時,その姿を一番側で見ているのが次世代を担う子どもたち。ぜひ子どもたちには,今の大人たちをお手本にして,この力を育んでほしいと願う。

〈レジリエンスを高める方法〉

  1. ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る習慣をもつ。
  2. レジリエンス・マッスルを鍛える
  3. 振り返り

の手順で話を進めよう。

1. ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る習慣をもつ。

これは,心をポジティブに保つ習慣作りである。まずは日ごろからストレスを軽減する習慣を身に付けていることが大切だ。

・朝太陽の光を浴びる。(セロトニン分泌)

・ヨガや音楽・瞑想・自然の中で過ごすなどの,リラックスできる時間を持つ。

・運動をする。

・好きなことをする。

・良質な睡眠を取る。

などなど,自分の心を落ち着けて,「今,ここ」に集中できるようにすることは心をポジティブにするために大切だ。

2. レジリエンス・マッスルを鍛える

「自己肯定感」や「自己効力感」を高めることはとても大切だ。他人との比較はそれらを低め,反対に劣等感や自己の過小評価に繋がる。自分の価値を見出す力が大切だ。それには「自分を受容すること」「自分の好きなことや強みを見つけること」「信頼のできる人に出会うこと」「感謝の気持ちを表すこと」など,がキーワードになる。

子どもたちにとって「信頼できる人」は親や先生が身近な大人だ。だんだんと友達との信頼を結ぶが,その前にしっかりと親子の絆を信頼の関係で結んでいたい。親は完璧でなくてよい。親の失敗から子どもたちはいろいろなことを学ぶ。「いいよ,いいよ!」という優しい気持ち。「助けたい」という自己有用感。「それでも大好き!」という無条件の愛。親は完璧でなくてよい。隙のあるくらいで調度よい。その隙間で子どもたちは愛と安心を育むものだから。

 また,「感謝」は今ある豊かさを確認でき,ありのままの自分を愛することに直結する。周りの物・人などすべてに感謝の気持ちをもったら,欠乏からの欲に支配されて苦しむことが減る。環境のせいにして自分の力を過小評価することも無くなる。「有難いことばかり。足りないものはない。当たり前なんかじゃない。全部夢みたいな話」(「シャウエッセン」ZORN)まさに,この歌詞の通り。

 そして「希望力」。「どんなことがあっても最終的にはうまくいく。」と考える力。ゴールまでの到達方法は一つじゃなくていい。この道がダメでも,別の道を通ればうまくいくと,別の方法を6個くらい考えていくと強い。目的と目標を見える化して,自分のビジョンを強く思い描こう。わくわくするでしょう!!

 最後に「自分の好きなことや強みを見つける」こと。好きなことをどんどんやってほしい。大人こそ,自由に!!その姿を子どもたちは見て育つ。また,強みとは案外自分の隠しておきたい部分,つまりコンプレックスに宿っていることがある。女性作家のLilyさんはこうも語る。「ぶれない芯のある人ってかっこいいって言うじゃないですか。で,人間の欠点やコンプレックスってずっと変わらないと思うんですよね。そしたら,その欠点を生かした強みを見つけたら,ずっと変わらない芯の部分になるんですよ。それはもう,その人のかっこいい魅力になりますよね。」私はこの言葉に衝撃を受けたし,即メモをとった。はあ,ため息がもれるほど素敵な考え方。自分の隠しておきたい欠点って,強みにしたらかなり強力な武器になるんだね。

3. 振り返り

最後に振り返りだ。今までの成功体験を思い出すことももちろん大切な振り返りだ。そして,ネガティブな記憶は,ポジティブにリメイクして心にしまっておこう。この辛かった経験があったおかげで,得たものは必ずある。「~~のおかげで」という言葉を使ってリフレーミングしておこう。そして学びに変えたなら,もうその辛い思いを大切に保管しておくことは必要ない。失敗をクールな出来事に書き換えたら,手放そう!!!くよくよ落ち込むあなたもかわいいけど,乗り越えた先の輝くあなたも最高に素敵!!!

 さて,「レジリエンス」の高め方について述べてきたけど,最後に一つだけ。どんなことがあってもあなたは愛されていて素晴らしい存在。それを思い出す機会が必要だよね。落ち込んでもいいし,くじけてもいいの。失敗を怖がってもいいの。そんな時は,ふっと息を吐いて,思いだしてほしい。あなたを支えたいと思う人が側にいるってことを。私たちもその一人になれたら嬉しいな。手を繋いで,みんなを応援し合う,そんな世界をともに作ろう。

かけがえのないあなたへ。

Kou

プロフィール/ 『自由な個性』を伸ばす◎ *しなやかな心・学ぶことが大好き* 幸せな子どもが育つ/ オトナもコドモもまるっと幸せに/// 一生幸せマインドを...

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