破れるレジ袋

20世紀末、添乗員をしていた頃、スイスでホテル近くのスーパーに行った時のこと。
水をボトルで2本、ジャケ買いの板チョコレート2枚をカゴに入れレジへ。
そこで何やら言われたがドイツ語がわからない。。。あーこいつ観光客だな、と素早く理解したレジの人は英語で「プラスティックバッグ要りますか?」
え?バッグ?何のこと?と頭の中で盛大にクエスチョンマークを盛大に飛ばしていると、こいつ英語もわからないのかしょうがないなという顔でビニール袋(レジ袋)を1枚カゴの中に入れた。
袋詰めをセルフサービスでやる、というのはヨーロッパでは当たり前になってきていたので(日本ではまだまだ先の話)あ、はいはい、この袋に入れるのね。と会計を終わらせ袋詰めにするテーブルに向かう。
買ったものを袋に入れながらレシートを見ると、ん?3円?(当時のレート比) これ何?またまたクエスチョンマークを引っ提げてレジに行き 係の人に「これは何ですか?」と聞くと呆れたような顔をして「袋代よ」とひとこと。
あーー袋は有料なんだ、さっき言ってたのはそのことか、とやっと理解し袋有料にカルチャーショックを受けながら店を出ると「ビッ、ガサガサッ」という音が。
なんと3円で買ったビニール袋は水2本と板チョコ2枚の重みで破れ出していたところだった。
なんてこと!ビニール袋有料の衝撃も冷めやらぬうちに破れるなんて!と怒りながらペットボトルを抱いてホテルに戻り、その日の夕食の席で早速お客さまに「スーパーの袋有料ですよー弱いですよー」と案内したことだった。
私と同じ経験をした方も何人かいらっしゃり、あぁ、だからレジの人が何か言ってたんですね。日本と違いますね。とレジ袋話で盛り上がったことだった。
スーパーの袋はスイスだけでなくドイツでもフランスでも有料で、そしてどこのも弱かった。
マイバッグ持って来いよという無言のメッセージに受け取れた。
当時日本ではスーパーの袋をゴミ袋に使ったりしていたので、レジ袋が有料になるなど想像もしなかった。現に私が住んでいた自治体ー兵庫県の県庁所在地ーにはまだ自治体のゴミ袋などなく、皆レジ袋などにゴミを入れて収集所に置いていた。
仮に有料にするのならヨーロッパのレジ袋くらい弱く作ると、自分で袋を持参する人は格段に増えるだろうに、と思ったことだった。
ヨーロッパの国々はほとんどが陸路で繋がっている。当然川も繋がっているので上流の国が川を汚すと下流の国では大変なことになる。
上流の国が川をきれいにすることに努めていたとしても下流の国が汚せば海が大変なことになる。だから島国である日本より環境に対する意識は当然高くなる。
その時点で日本とは20年くらい意識差があったかもしれない。
今まで、便利な生活を欲するがあまり地球(自然)を蔑ろにしてきてしまった。『地球に優しい生活』と言うのはなんだかおこがましい。日本でも世界でも環境に対する意識は高まってきているのだから『地球に害のない生活』を意図を持って心がけていく時代になったのではないかと思う。